【極上の自由時間】
ひとりを辛く寂しい日々と感じるか、
極上の自由時間ととらえるかは、
本人の気持ち次第なのだ。
俳人の金子兜太さん(享年98)が、
毎朝の日課にしていたことは、
午前7時に起床すると、
パンや野菜サラダを食べて、
その後は欠かさず神棚の前に立つ。
そして、じっと目をつむり、
亡くなった俳句仲間や親しい友人、
家族の名前150人分を、
小さな声で読み上げる。
最後に愛猫と愛犬の名前も唱えたら、
亡き妻との思い出をゆっくりと振り返り、
目を開ける。
俳人の金子兜太さんが、
妻の皆子さんを喪ってから欠かさず行っていた
「立禅」だ。
「金子さんは、長い生涯の中で妻や友人など
身の回りの方を次々と亡くしますが、
だからといって孤独に苦しむような素振りは
まったくありませんでした。
それには、ひとりになってから始められた
「立禅」という所作が大きく
役立っていたと思われます。」
そう語るのは、
亡くなるまでの6年間を密着取材してきた、
映像ジャーナリストで元NHKプロデユーサー。
またこうも言っています。
「あらゆる繋がりを大切にされる方でした。
よく、
「死とは、自分と他者とを分断するものではない。
立禅をすれば、先に逝った人とも
繋がることはできるんだ。」
と仰っていましたから。
この作業が精神的な癒しや脳の若返りにも
なっていたそうです。」
毎朝の立禅を続けられるようにと、
頻繁に深呼吸を行っていたという。
「嫌なことがあったり、
自分の中にわだかまりができたりした時は
意識的に深呼吸をしていました。
呼吸は、自分の外と内とを結びつける
象徴的な行為だというのです。
呼吸を意識することで、
大自然との繋がりも実感できると
満足そうに話されていました。」
また、深呼吸にとどまらず、
金子さんは自分の外と内とを繋ぐ行為を
何より重んじていたとのこと。
食事の時間が最たる例で、
「金子さんは、
時間をかけて食事をするんです。
珈琲一杯にしても、
10分以上かけて飲んでいました。
愛用の白いウエッジウッドのカップで、
ゆっくりと飲むのです。
ひとりだからこそ、
食事のときは誰の目も気にせず、
じっくり咀嚼して、
隅々まで味わうように
心がけていたのでしょう。
並べられている食べ物から
自然や季節、生命の営みを
体内に取り込んでいるようで、
そのときの表情は幸せそうでした。」
金子さんが食事をしている様子は、
立禅や深呼吸を行う姿と
重なる部分があったという。
ひとりの時間を、
どんな些細なことでもないがしろにせず、
楽しもうとした人だから、
実践できた習慣だったといえる。
(現在デジタルより引用)
やはりその道の一流の方の生き様は、
細部にわたってこだわりがあるようです。
わたしの場合、ただの市井の黄昏一個人ですが、
こういう一流の方のエッセンスをすこしでも
取り入れながら真似していくことで、
日々の日常が少しでも充実したものになるのなら、
真似できるところは真似して生きていきたいと
常に思っています。
深呼吸に関しては、
天風哲学の実践者として、
人一倍身に付いていますけど、
「立禅」に関しては初耳でしたので、
日常に取り入れたいと思いますが、
わたしの場合、せっかちな性格もあって、
朝起きるとすぐにウオーキングに出ますので、
「立禅」ならぬ「歩禅」ということで、
歩きながら唱えていきたいと思います。
今でも、けっこう無意識に独り言で亡き妻に、
「お母さん、俺ってバカだよね。」なんて、
言ってるときがありますから、笑。
「歩禅」がぴったりな気がします。
食事に関しては、ゆっくり味わって、
よく咀嚼することを気にしていますが、
せっかちゆえに、つい忘れてしまうことも
度々あったりしますので、いま一度、
肝に銘じて、じっくり咀嚼して、
味わうことに心がけたいと思います。